SIXIÈME GINZA MAGAZINE 007

Life with Fashion.

Interview with Yukio & Takako Hayashi

毎日のクオリティ

愛読書の一つに、『ふたりが見つけた、いつもの「普通服」』があります。西宮市苦楽園で“Permanent Age”というセレクトショップを経営されている、林行雄さん多佳子さんご夫妻が、大人の着るべき服について綴られている一冊です。そんな林さんご夫妻にお話を伺いました。

「大人世代になると、いくつか気をつけなければならないことがあります。例えば髪色が白くなったり、顔色がくすんで見えはじめるので、トップスには明るい色を持ってきたり。その一方で、メガネやアクサリーに大胆な色を使えるなど、今までとは違ったオシャレを楽しめるようになりました」。

多佳子さんのお召しになっているグリーンの鮮やかさは、白髪の穏やかな印象に華やかさをプラスしていて素敵です。

「若い頃はベージュなどをよく着ていたのですが、歳とともに顔色に近いベージュを避けるようになりました。今までいろいろな服を着てきたトライ&エラーで、自分に似合う色を見つけることができたのだと思います。サイズやコーディネートのバランスもそうです。タイト目のトップスには、ワイドなボトムス。大きめのトップスにはタイトなボトムスという基本を守りながら、自分に似合うスタイルを持つということですね」。

行雄さんは、「それこそ、家をもう一軒買えるくらい洋服にお金を費やしてきました。そこまでとは言いませんが、トライ&エラーこそオシャレの楽しさですし、そうやって歳を重ねることが楽しいのではないでしょうか」。
Permanent Ageの服や雑貨は、そうした積み重ねからラインアップされているものばかりです。長く付き合える質の良さと心地よい天然素材へのこだわり。お二人が今、自ら着たい、欲しいと思うもののセレクション。ただ自然体のように思えますが、大人として、プロとしての経験の積み重ねという確かな知識と感性に裏付けられたものなのです。それはファッションだけに留まらず、心地良い、上質な日常生活にも通じると言えるでしょう。

大人だからこその楽しみ方

「一つ絶対に用意して欲しいのが、全身が映る鏡です。できれば玄関にあるといいですね。出かける前には全身をチェックする。そして、“うん、いけてる” と自信を持って出かけるのです」と行雄さんからの提案。
「若い頃のような足し算のオシャレだけではなく、大人にとっては、引き算のオシャレも必要。流行についても、そのまま取り入れるのではなく、長く着ることのできるアイテムに、少しだけ“今”を取り入れるようにします。頑張りすぎないけれど、少し意識するという感じでしょうか」。
多佳子さんのアドバイスに加え、お二人が実践されていることを伺いました。
「洋服は毎日着るものです。だから肩肘張る必要はないけれど、着ること自体を楽しむ努力は必要ですね。そのためには、ベーシックで質の良いものを基本にするといいでしょう。それに加えて、できるだけいろいろな人に会ったり、いろいろな場所に出かけたりすること。誰に会うのか、どこに行くのかを考えながらお洋服や雑貨を選ぶのは楽しいですよ」。
普通であることの大事さ。そこに到達するまでのトライ&エラー。大人でなければ楽しめない、コーディネートの妙。楽しそうにお話し下さったことは、お二人の飾らないお人柄やゆとりある雰囲気と共に、大人だからこその毎日の楽しみ方にも共通しているのではと感じました。

Permanent Ageのバッグ

お二人から、ご提案いただいたのが、シンプルだけれどセンスの良さが滲み出ているオリジナルのバッグです。クオリティを保ちながら大人の女性にうれしい軽さを追求した逸品です。ベーシックな黒に加えて、ホワイトは、着こなしに春らしい変化をもたらします。日常をオシャレに楽しむ。そんな、Permanent Ageらしいバッグは、デイリーな定番になってくれそうです。

Permanent Age代表

林 行雄・多佳子(はやし ゆきお・たかこ)

共に1949年神戸市生まれ。行雄氏は紡績会社、商社を経て合繊メーカーでデザイナーとして勤務。多佳子氏は商社に勤務したのち、25歳で結婚。両氏30歳で独立し、当時住んでいた住所の郵便番号にちなんで「662」というブランドをスタートした。その後、「イショナル」というアパレル会社を立ち上げ直営店や卸業を拡大するも、2000年に心機一転、西宮市苦楽園で「Permanent Age(パーマネントエイジ)」というセレクトショップを立ち上げる。
普段の生活がより心地の良いものになる、着心地の良さやディティールにこだわったアイテムを提案する。洋服と雑貨、レディースとメンズ、デッドストックから現行モノ、正統のものから遊びのあるアイテムまで。長年アパレルの世界で培われた林ご夫妻の審美眼による独自のセレクトにより、性別や世代を超えて支持され続けている。