SIXIÈME GINZA MAGAZINE 002

Ginza Rambling

私が銀座を
好きな理由(わけ)

数寄屋橋から銀座4丁目に向かい、並木通りを左に。老舗の和菓子屋、海外のブランドが交互に現れるような、新しさと伝統が入り混じったようなこの道を歩くのが好きです。
入り組んだ道が多い東京にあって、銀座の道は碁盤の目のようにきちんと整っていることが、どこか心地よくも感じます。そして1本1本の道につけられた、趣のある名前。並木通り、すずらん通り、みゆき通り、花椿通り…。それぞれの道には、それぞれの個性があるように思え、どういうルートで歩くかを考えるのも、この街を好きな理由です。
そう、銀座は“歩く街”だからこそ、特別であり続けているのではないかとさえ思います。

表通りから裏通りへ。道ゆく人のファッションの変化、旅行者、人物ウォッチングをしたり、アート作品のようなウィンドウの前で立ち止まったりします。

銀座に教えられること

銀座は、早くから西洋文化を取り入れた街の一つでした。その歴史を誇るかのように、今も多くのテーラーや靴、鞄の専門店が見られます。モダンさと伝統的な職人技の出会いが、この街の魅力として脈々と流れていると、訪れる度に感じます。
洋装といえば、私にとって銀座の伝統を感じさせる事のひとつに帽子があります。円柱形のボックスに大切に納められた帽子。幾度も被り、丁寧に取り扱いながら、自分だけのものになっていく感覚。慈しみながら育てる帽子は、宝物のようなものになってくれるはず。そんな大人ならではの「モノとの付き合い方」は、この街銀座が教えてくれたことです。

陽射しの季節のパートナーとは

天気の良い日に銀座を歩く。ビルとビルの合間から覗く、抜けるような青空に今更ながら感嘆して、いつもより長く歩くような気がします。

少し陽射しが強くなるこの季節、お出かけには、帽子が欠かせません。帽子の役割が紫外線を防ぐためのものと考えては、つまらないと思いませんか。単にアクセサリー的に考えるのでもなく、上質な帽子は、大人の女性のコーディネートを完成させるとても大事なアイテムになってくれます。
かつてハリウッド女優たちは、ヘアスタイルの一部として帽子を含めてスタイルは完成すると考えていました。美しい女優がそうであったように、帽子とその日着る洋服とのバランスを考えることは、大人の女性にとって凛とした美しい佇まいの決め手になってくれることでしょう。

その日の洋服との調和を考えると、「今」を感じさせる洋服のシルエットや色柄、素材感とのバランスがとても大切です。帽子選びは、陽射しや風から目や肌、髪を守ってくれる心強い「機能性」に加えて、「今」を楽しむおしゃれを叶えてくれる「ファッション性」をしっかりとチェックしたいもの。
自分の顔型や頭のサイズ、身長とのバランスを考えて選ぶのは言うまでもありません。

さぁ、お気に入りの帽子をかぶって銀座へ。そんな季節がもうそこまでやってきています。

KIJIMA TAKAYUKI

キジマタカユキ

デザイナーの木島隆幸氏はオートクチュール帽子デザイナーの第一人者、故平田暁夫氏に師事。その経験を生かし、職人による丁寧な手作業で生み出される高品質かつ機能的な帽子を得意としている。
そのデザインは、シンプルな中にも確固とした存在感を持ち、様々な装いにフィット。トータルコーディネイトの重要なアイテムとしての帽子を創り出している。