SIXIÈME GINZA MAGAZINE 011

情熱の灯火

Interview with KAREN KIRISHIMA

人生は1本の樹木

モデル、女優、歌手として活躍する傍ら、プライベートでは結婚を経て、4人のお子さんの母でもある桐島かれんさん。日々の暮らしや旅をするなかで大切にしていることや桐島さんの生き方には、SIXIEME GINZA が提案する「SLOW LIFE」(自然の気配や季節の移ろいを感じながら、自分が心地よい過ごし方を見つけて、日々の暮らしを豊かにすること)にも繋がるヒントがたくさんありました。

「人生を 1 本の樹木の年輪にたとえて考えると、外皮のゴツゴツとした部分がいまの自分で、その幹の一番奥には赤ん坊の頃の私が眠っている。10代、20代、30代とバウムクーヘンのように幾重もの年輪を重ねていくわけですが、外側の自分だけでなく、どの時代の自分も重層的にいまなお生きていて、そのすべてがいまここにいるわたしなのです。人生の年輪がすべてみずみずしく現役で、どの時代にも自在に行き来できることが若々しさの秘訣だと思うんです。陽光や風雨に鍛えられ、外側はすっかり逞しくなってしまったわたしですが、好きなこと、嫌いなことは少女の頃から何ひとつ変わっていません(笑)」。

いまの仕事も高校生の頃から情熱を傾けてやってきたことがいまにつながっているのだと話す桐島さん。結婚や子育てを経てライフステージは変わっても、好きなことや、やっていることは、昔と何も変わらないということからも、どの年輪をも大切にされてきたことが伺えます。

「人生は自分が主役で生きていかないとつまりません。恋愛も友情も子育ても、自分の想い通りにはならないものだから、拠りどころにするのは危うい。もちろんこれらはわたしの幸せの大切な一部分ではあるけれど、自分軸で情熱を捧げられるものを大切にしながら生きてきました。その灯火を消さないようにしておけば、物理的に忙しい時期があってもそこに戻れるから。自分探しなんてしないほうがいい。今の自分を受けいれること。人生は、樹木の年輪のように、重ねれば重ねるほど豊かで美しくなります。ここまで頑張ってきた自分を慈しみましょう」。

 

儚さのなかにある美しさを求めて

暮らしのなかで季節の移ろいを感じるエッセンスは、花を愛でることで楽しむという桐島さん。お花屋さんが大好きで、ブティックに出かけるよりワクワクするそうです。馴染みのお店が3種類あって用向きに合わせて使い分けています。日常に活ける花はリーズナブルに求められる仲卸のお花屋さんか、いつもおまけをしてくれる近所の顔なじみのお花屋さん。来客がある時にはセンスのよい花が並ぶちょっとおしゃれなお花屋さんへ。花を選ぶ時は、手持ちの花器に活けやすいかどうかで決めるのがポイント。たとえばチューリップのように少ししなりがあるものは活けやすい。一方、カラーのように茎がまっすぐに立っている花は意外と活けるのが難しいそうです。

エッセイストの母・桐島洋子さんに連れられて、子どもの頃から毎年夏休みには1〜2か月世界を放浪していたという桐島さん。ヨーロッパ、アジア、アフリカで出会う文化や日常雑貨に魅かれては買い集め、自分の部屋にインドのタペストリーがあるような学生時代でした。「人々の暮らしのなかに息づいているものに心動かされます。時代の流れのなかで消えていくものがたくさんあって、いずれ無くなってしまうなと思うものに出会うと掬いあげたくなるのです。儚さのなかには言葉にできない美しさがあります。そういうものを見つけては商品化することで、その職人技を絶やさずに済む。だから旅をしていても、わざわざコーヒーのチェーン店のないところや、まだ道が舗装されていないところを目指して行くんですよ(笑)」。

 

新しい価値を生み出す

桐島さんがクリエイティブディレクターを務める自身のブランド「HOUSE OF LOTUS」は、幼少期から旅先で強く魅かれてきた異国の手工芸品や民具、雑貨、オリジナルの洋服など、異なる文化をバランスよく融合させる独自の審美眼で紹介しています。

7月26日(水)から8月8日(火)までSIXIEME GINZAで展開する「旅するHOUSE OF LOTUS 夏の“トランク”ショー」では、インドネシアのバリ島に古くから伝わる手織り布“イカット”を用いたSIXIEME GINZAオリジナルのサマードレスとショルダーバックを販売します。イカットとは、仕上がりの絵柄を想定して糸を染め、絵柄に合わせて一本一本の糸を織り上げていくインドネシアの伝統的な手工芸品で、日本で言うところの絣のようなもの。「プリミティブな素材はシンプルなデザインや仕立て方次第で、日常着にできるほどモダンになります。このドレスをバリ島に着ていったら、現地の女性たちに驚かれましたよ」。年齢を問わず着こなすことができるシルエットを心がけたというドレスは、1枚ずつ布地の絵柄や取り方が異なる一点ものです。ワンピースにアンダーパンツを合わせるHOUSE OF LOTUSスタイルを、ぜひお楽しみください。

HOUSE OF LOTUS

ハウス オブ ロータス

桐島かれんさんがさまざまな国や文化を巡り、培ってきた美意識や哲学を「装う」「暮らす」「もてなす」の切り口で表現しているライフクラフトブランド。コンセプトは「Happiness of Life」。日々の暮らしに感動やよろこびを感じられるような場として、宝探しのように世界を旅しながら見つけてきた美しく愛らしい日常雑貨や、インドの手刺繍が施されたワンピースなどのオリジナルウェアを中心に、ライフスタイルをトータルに提案している。
http://houseoflotus.jp/

モデル/女優/歌手/ハウス オブ ロータス クリエイティブディレクター

桐島 かれん(きりしま かれん)

1964年生まれ。1986年大手化粧品会社のイメージキャラクターに起用され、脚光を浴びる。以降、モデル、女優、歌手、ラジオパーソナリティとマルチに活躍。1993年に写真家の上田義彦と結婚、四児の母である。ライフクラフトブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクター。
Instagram @houseoflotuskaren